土佐錦魚専科

志す人の過去ログ

過去ログ 2006/02/24~2006/01/08
四回つづき4 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/02/24(Fri) 18:00 No.131
  風速
 高知は風が穏やかな土地のようだ。平均して一m台、普段なら温暖な冬と暑い夏を想像させる。東京では少ない時で二m台、六m近い月さえある。
 当歳魚において、丸鉢内の円を描く泳ぎは、水面付近の温度上昇と、風との相乗作用と言われて来たが、これは東京でまさに当てはまり、高知では圧倒的に温度が主因と思われる。
 風は酸素補給に最も必要であり、また魚の健康に欠かせないものだ。だが、東京では飼育場所を確保することが困難であり、屋上、ベランダ、室内が多く、従って風通しさえも望めぬことがままある。逆に、ビル街の屋上や、マンションの谷間に位置しては、ビル風の被害さえ被ることがある。
  温度
 平均してはやはり高知が高く、東京の長雨時に逆転している程度で、この年に限っては大差はない。魚との関連が明確に掴めず、皆さんのご意見を伺いたい。
  その他
 他に魚と関連の強いものに、日の出、日の入りが考えられる。ご存知の通り長い日本列島は、ほぼ中央に位置する明石市を標準に時刻を決める。大げさに言うと同じ十二時でも、東京と高知では太陽の方向が異なる。実際に双方の話を聞き合せると三十分、印象的には一時間の相違と思われる。
 東京では夜明けが早いため、ミジンコ採りは四時前後に現場へ到着し、夜の開けるのを待ち、順調に獲れれば、早々に引き上げて出勤前の世話が出来る。これは夜明けが早いための利点だが、早々毎日では体力がつづかず、魚の目覚めに飼い主はついていけないのが実状になる。
 高知では朝、魚の目覚めや活動とともに人間が起き、夕方は強い西陽が遅く迄当たり、水温の低下を防ぎ、最終給餌時間、餌の消化や成長に大きな差を産み出す。また、夕方の水替えさえも許容する。
 澄んだ空気も忘れてはならない。太陽を無駄無く受け入れ、スモッグ等、東京とは大違いだ。高知では雨水を池に入れる会員が比較的多く、これは大気中の不純物が作用しての、水質急変が少ないことを実証している。
 ともに良質の水は苔の質を保ち、作用を促進させ、魚に良い影響を与える。
 高知でただ一つ困ることは、集中豪雨、台風の多いことだ。台風銀座と仇名す程に会員や魚へ、多大な被害を与えている。
  やはり高知は南国、土佐錦魚は南国で産まれた魚
 釣好きの高知の会員の話に、冬海釣に船を進めると間もなく暖流に差し掛かり、海面一帯に陽気が立ちこめるのをみるそうです。
 南に暖かい海、北に山のつい立、二月に冬籠りを解き、水替えすべく魚を手にした途端、卵をこぼしたというエピソードある。しかし、二月三月の産卵よりも、四月五月に良魚が産出する確立が大きくなる。そのため産卵を抑えるのに、苦慮することもある。
 角鉢で産卵された稚魚は、間もなく丸鉢に移される。丸鉢は昔から擂り鉢型だ。強い陽射しに沸き易く油断がならない。それなりに効率は良い訳だが一長一短で、沸きの緩やかなお椀型が使われるようになって来た。
 丸鉢の水深は十五㎝~二十㎝程が多く、表面積と底面積に著しい差があるため、カーッと照る厳しい陽射しに水温差を生じ、当歳魚が暖かい水面に円を描いて泳ぎ回る。前置きが長くなったが、この泳ぎこそが土佐錦魚を作る時、最も必要になる。
 この泳ぎから骨格が出来、筒が太く、付きが良く、親骨が抑えられ、渡りが成長し、反転が大きくなる。
 秋の朝に反転が始まると魚は止まり、腹形も増し、仕上がりに向かう。この時狭い水底がおおいに役目を果たす。高知の気候と丸鉢無くして、土佐錦魚は誕生し得なかったと言っても過言ではないだろう。
 だが、親魚には少々酷に思える。水を濃く保てない宿命にある気候は、頻繁な水替えを余儀なくされ、魚は肌の老化を促進させ、過度な成長は寿命を縮めてしまう。
 浅い水深、狭い飼育池、強い陽射しはまたたく間に酸素か飽和をつくりあげる。動きの鈍い親魚は、平付けで大きな尾にたちまち気泡を付けて傷めてしまう。
 成長の面から見ると大きく成長させることはらくで、過去の大会に直径三十㎝大の審査用桶に入らず、六十㎝の桶を特別にならべるという、驚くべき親魚が出陳された。この魚は流石に参考出品として審査の対象外だった。あまり無理をせずとも成長が望める反面、抑えることは無理をすることにもなりかねない。
四回続き3 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/02/18(Sat) 21:08 No.130
 をお読み下さい。
第一回会報より 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/01/11(Wed) 14:22 No.113
 これはいずれ本掲載される一部です。
 無断で本文の一部または全部を複製もしくは転載することをお断り致します。
 当ページで東京土佐錦魚保存会のコーナーへ移され、長く掲載されますので、読み返すことはいつでも可能です。
 それまではここで読んで下さい。
 東京土佐錦魚保存会会報の私の文をもとに誤字等を直し、少し手を加えてあります。
 東京ではまだ普及した初期なので会員に解り易くするため、初歩的なこともあえて聞いています。
 また、既に述べて浸透していることは、前提にして質問している場合が有ります。
 ここで読んだだけの誤解がないようにしたいので、いろいろの質問にお答えします。

 
一九七七年、 昭和五二年三月発行、
一九七六年度、昭和五一年度第一回会報にて  玉野叔弘

  近森氏との一問一答

 昭和四九年、西暦一九七四年高知の土佐錦魚保存会大会を見学の際、当日大会前に近森邸へ伺い、基本を新たにすべく、懇切丁寧な教えを録音させて頂いたものです。
 尚、解り易くするために、一問一答のかたちをとり、敬称を省いてあります。

  近森氏の紹介
  土佐錦魚保存会副会長
     同   審査員
  土佐錦魚天然記念物指定に貢献され、
  土佐錦魚保存の一翼を担って居られます。

玉野 南国高知では冬越しはどのように致しますか?
近森 私は十一月二五日から、二月十五日までは、
   あまりやらんです。たまに差し水をします。
   産卵までは極力餌は少なくします。 
   植木でも肥料を与え過ぎると花が咲かないように、  
   錦魚も腹に脂肪が回りますね。

玉野 春、始めの水替えはどのように致しますか?
近森 三分の一の差し水程度から、
   一週間に三分の一で、三週間で普通にします。
   私が昔、正月に魚を観たいと思いましてね、
   新しい水に替えましたら、
   産卵が無精卵が多くて駄目でした。
   替え水は一℃ぐらい、温度が高めがいいでしょう。
   産まれた卵は新水でもいいのですよ。

玉野 卵の時から丸鉢で良いのでしょうか?
近森 高知では丸鉢で飼えるでしょうが、
   東京では丸鉢全部にヒーターを入れないと、
   冷えるでしょう。
   小さい時は一つの角鉢へ入れた方が、
   飼い易いですよ。

玉野 どれくらいから丸鉢へ移せば良いのでしょうか?
近森 百から四尾までもって行きます。 
    
玉野 餌は何が良いのでしょうか?
近森 普通はミジンコを使いますが、
   昔、私の先輩は
   アカコ(イトミミズ)を切って与えていました。
  「ミジンコは逃げるから追っていかん」
  「口が太くなる」
  「泳ぐから肩が落ちる」と言っていました。

玉野 その頃の水替えは?
近森 はじめの選別までは差し水です。
   今、名人と言われる人(宮地氏)は鱗のつくまでは、
   水を換えるなと言います。
   六月まではまるで小さい。
   夏は忙しくて見に行かないと、 
   秋にはうちの錦魚より遥かに大きくなっています。

玉野 小さい時の選別は?
近森 私も昔、先生に聞いたのですが、
  「選別の骨なんか無い」
  「ヘボな魚から捨ててけ」と、言われました。
   尾肩があって、後に流れている魚をとっておき、
   張り過ぎ、肩がなくて流れている魚も駄目です。

玉野 少し大きくなってきた頃の具体例を、お聞きしたいのですが、
   片腹はどうですか?
近森 そんなものは捨てる。

玉野 付け違いは?
近森 駄目。
   要は、正常であって、水平に泳げば残す。
   狂いが来ていたら、正常に伸びません。
   尾は小さくてもいいんですよ。

玉野 夏の水替えは何日置きですか?
近森 夏は二日に一回。二、三日殺した水がよいです。
   理想は毎日糞をとって差し水をしてあげる。
   これをやると体が保たん。
   二十鉢以上は体を殺すと教わりました。

玉野 秋に気をつけることは?
近森 体色の時に餌を控えて、水を濁らす。

玉野 秋になるといよいよ審査ですが、良い魚を一言で?
近森 バランスですね。
   良い魚は良くしたもんで、バランスがとれている。
   色は二の次ですね。

玉野 尾と体のバランスは?
近森 五対五か、体が勝っていてもいいです。
   尾は二歳三歳で太り(大きくなり)ます。

玉野 尾は水平でしょうか?
近森 そうです。

玉野 上がっているよりは、下がっている方が良いと
   聞きましたが、如何でしょうか?
近森 どっちも駄目です。
   水平でピタリと極(き)まった魚が良くなります。

玉野 尾芯が曲がっていたりしたら?
近森 それは、もう、駄目です。

玉野 尾先をちょいちょい上げるのは?
近森 やはり、落ちますね。
   極め(決め)てなくては駄目です。

玉野 二本梶と一本梶ではどうですか?
近森 二本梶が上です。
   でも、審査では同等として、
   決めかねる時初めて裏を返します。

玉野 反転に名称があると聞きましたが?
近森 折り前と一文字前です。

玉野 目と口との長さは有る方が良いですか?
近森 目先は有る方が良いですね。
   三角に、奇麗に。
   近親を三代掛け合わすと、顔が四角くなる。

玉野 頬と言うか、目の後ろが痩けているのは?
近森 やはり落ちますね。

玉野[品があることが良いことは聞いていますが]
   力強さは如何でしょうか?
近森 力は有る方が良い。
   スケールが大きいと言うことですね。
   体はガチッと雌タイプがいいですね。
   雄は長くなりがちですが、やはり丸手ですね。

   つづく

つづき: 第一回会報より 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/01/22(Sun) 12:17 No.118
玉野 泳ぎには何か有りますか?
近森 泳ぎ出しには有りません。
   あれだけの尾がついているのですから、
   まともに泳げません。
   曲がって泳がなければ良いのです。
   審査員が見ている時良く泳ぐ。
   良く魅せるのが良い。

玉野 他に何かポイントは有りますか?
近森 尾筒は太いものがいいですね。
   グッと極(決)まっていると伸びがなくて、
   狂いがこないですよ。
   金座の大きいことが大切ですね。
   将来、大物になります。
   種魚は何か一つ特徴のある魚を使うといいです。

玉野 皺(しわ)とか襞(ヒダ)は如何でしょうか?
近森 ハネですね。
   手術をしてあげればいい。

玉野 手術はしたと判ってもいいのですか?
近森 判らなければ尚いいですね。
   判れば落ちます。
   治っていない。切ったところがついていない場合、
   審査の対象外です。

玉野 皺、襞の他にどのようなところを手術しますか?
近森 桜もします。
   尾芯を少し切ってあげます。
   尾幅の違いは、小さい方をカットしてあげる。
   片方をひく場合は、ひく反対側を除ける。

玉野 尾先を上げる場合は?
近森 切るのでなくて裂くんです。
   簾みたいに。

玉野 もし、尾を手術して更に良くなりましたら、
   品評会で入賞しますか?
近森 入賞します。
   これは芸術です。

玉野 手術を毛嫌いしていましたが、
   土佐錦魚はいじるべく魚なのでしょうか。
近森 良い魚は弄っても良いと思います。
   良い魚はさらに作るのです。
   名人は錦魚を作る。
   我々は飼っているだけなんですよ。
   効くでも懸崖が有り、一輪咲きが有るように。

玉野 手術の道具は、どのようなものがありますか?
近森 竹を使っていますね。
   スポークを使ったり。
   手術用のハサミを使います。
   皆それぞれに工夫しているようです。

玉野 手術の出来ないところは?
近森 尾は出来ますが、大破できません。
   尾幅や大きさが小さくても残しておくことです。

玉野 経験も浅いので死なしますが、気をつけることは?
近森 殺してもいいんですよ。
   殺した原因は何か自分で原因を探り、
   二度と同じ失敗を繰り返さない。
   と言うことが大事なのです。
   昔、あそこの魚はいい。
   けど、よう育たない。と言われる人がいました。
   水が違うのだろうと思って、
   水を貰ってきても駄目なんですね。
   人と違った独特の飼い方をしているのですね。
   私は遊びに行って見せてもらったのですが、
   他の人が行くと、
   その鉢に近寄っては駄目だと言うんです。
   「近寄ると魚が動く、動くと形が崩れる」
   と言っていました。

玉野 今日はどうも有り難うございました。
   ぶしつけに質問ばかりしまして失礼致しました。
   今後も魚に力を入れたいと思います。
   そろそろ品評会の時間も近づきましたので、
   これで失礼致します。
近森 研究熱心なのには驚きました。
   とことんまですると良いですね。
   これからを期待して居ります。

第四回会報より 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/01/28(Sat) 19:15 No.120
一九八〇年、 昭和五五年三月発行、
一九七九年度、昭和五四年度第四回会報にて 玉野叔弘

  東京と高知、気候と飼育の比較

 まだ思い起こせる、昭和五三年を例にとって進めてみよう。
気象庁資料による左表を一読すれば瞭然だが、解読にあたって前提となる、両地方の四季の印象を念頭に置いて目を通し、参考にして戴きたい。
  冬期
東京 平年並みで順調。
高知 例年になく冷え込み、異常気象と言われ、
   産卵前の親魚にかなりの影響を与えた。
  春期
東京 平年並み、冬期に続き、順調。
高知 数十年来の異常気象。初旬の冷え込みきつく、
   産卵前の親魚にかなりの影響を与えた。
  夏期
東京 空梅雨、早くも真夏を思わせる。
   真夏日、熱帯夜の記録を塗り替える。
高知 低温つづき、集中豪雨、台風に悩まされる。
  秋期
東京 長雨、急激に冷え込むが、後半持ち直す。
高知 本来の南国に戻る。
東京では、順調で病気もなく、秋の長雨を除けば、まさに土佐錦魚にうってつけの年であった。
高知では、冬春夏と記録をつくる低温つづき、秋にやっと回復するが、東京とは反比例と思える程で、土佐錦魚には試練の年であった。
  全国大会の印象
 当歳魚には試練の春の初期生まれでも世話が行き届き、圧倒される魚も出品されていたが、前年より大形魚に長魚が少なく、低温であったためか、大きさでは精彩を欠いていたようだ。
 当歳魚は、春後半産まれが多く出陳されていた。ちなみに当歳魚の優勝は後半産まれ。一等は前半産まれであった。上位に小粒の魚がかなり昇り、これは数年来見られなかった現象だ。
 二歳では一見して親と大差なく、大きさ、仕上がりも親に匹敵する。親魚と並べても遜色無く戦え、その中に二歳なりの魚がまざるという感じだ。
 親魚では三歳が多く、四歳、五歳と段々に希少となり、総体に比して、親魚の出陳が驚く程少ない。

第四回会報より続き1 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/02/05(Sun) 12:31 No.124
会報では気象庁で調べた、東京と高知を比較した表が出ていますが、ここに載せることができません。申し訳ないのですが、文章から想像して下さい。

  気温
 冬は高知が若干高いようだが、暖かくなるにつれて記録的暑さの東京が、異常気象の南国を逆転してしまった。全体としてみると異常気象で冷え込んだ高知と、順調で望ましかった東京と大差ないことは、面白い現象と言える。東京では例年、高知の異常気象内で飼育していることになる。してみると、このとしの六月七月産まれの当歳魚が夏の低温にも関わらず、大会へ立派に出陳できるとは、高知の不思議と思える。
 最高気温を見ていくと、高知の四月が二十℃。東京の五月が二三℃。高知の十一月が十九℃。東京の十月に二十℃台。やはり高知では東京より春一ヶ月秋一ヶ月、合計年二ヶ月間の成長期に差があることは、異常気象下であっても事実と感じられる。高知では十月に手術をする会員も目に留まるが、これは十一月に成長することを裏付けている。
  日照、日射、降水
 どうやら、ハッキリした相違はこのあたりにあるようだ。六月を見ると、降水量が比較にならない。高知とはこれほど雨が降り、日照時間が東京の五十%程度なのに、日射量が三十%減にとどまっている。七月に至っては驚異的な降水量だ。それなのに、日照時間と日射量は、東京よりも多く約二五%増だ。東京では考えられない日の強さを物語っている。夏の朝は案外涼しいが、日が昇り始めると途端にカーっと暑くなったことを思い出した。
 高知では一日当たりの降水量が、六〇〇ミリ迄は排水能力が有ると聞くが、この年は市内にやはり浸水したそうだ。
 日照時間と日射量は、三月よりも四月の方が東京、高知共に低下している。しかし気温は季節通りに上昇していて、世話次第では産卵が行えたことを感じさせる。

第四回会報より続き2 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/02/13(Mon) 20:01 No.127
 風速
 高知は風が穏やかな土地のようだ。平均して一m台、普段なら温暖な冬と暑い夏を想像させる。東京では少ない時で二m台、六m近い月さえある。
 当歳魚において、丸鉢内の円を描く泳ぎは、水面付近の温度上昇と、風との相乗作用と言われて来たが、これは東京でまさに当てはまり、高知では圧倒的に温度が主因と思われる。
 風は酸素補給に最も必要であり、また魚の健康に欠かせないものだ。だが、東京では飼育場所を確保することが困難であり、屋上、ベランダ、室内が多く、従って風通しさえも望めぬことがままある。逆に、ビル街の屋上や、マンションの谷間に位置しては、ビル風の被害さえ被ることがある。
  温度
 平均してはやはり高知が高く、東京の長雨時に逆転している程度で、この年に限っては大差はない。魚との関連が明確に掴めず、皆さんのご意見を伺いたい。
  その他
 他に魚と関連の強いものに、日の出、日の入りが考えられる。ご存知の通り長い日本列島は、ほぼ中央に位置する明石市を標準に時刻を決める。大げさに言うと同じ十二時でも、東京と高知では太陽の方向が異なる。実際に双方の話を聞き合せると三十分、印象的には一時間の相違と思われる。
 東京では夜明けが早いため、ミジンコ採りは四時前後に現場へ到着し、夜の開けるのを待ち、順調に獲れれば、早々に引き上げて出勤前の世話が出来る。これは夜明けが早いための利点だが、早々毎日では体力がつづかず、魚の目覚めに飼い主はついていけないのが実状になる。
 高知では朝、魚の目覚めや活動とともに人間が起き、夕方は強い西陽が遅く迄当たり、水温の低下を防ぎ、最終給餌時間、餌の消化や成長に大きな差を産み出す。また、夕方の水替えさえも許容する。
 澄んだ空気も忘れてはならない。太陽を無駄無く受け入れ、スモッグ等、東京とは大違いだ。高知では雨水を池に入れる会員が比較的多く、これは大気中の不純物が作用しての、水質急変が少ないことを実証している。
 ともに良質の水は苔の質を保ち、作用を促進させ、魚に良い影響を与える。
 高知でただ一つ困ることは、集中豪雨、台風の多いことだ。台風銀座と仇名す程に会員や魚へ、多大な被害を与えている。

第四回会報よりつづき3 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/02/18(Sat) 13:54 No.129
  風速
 高知は風が穏やかな土地のようだ。平均して一m台、普段なら温暖な冬と暑い夏を想像させる。東京では少ない時で二m台、六m近い月さえある。
 当歳魚において、丸鉢内の円を描く泳ぎは、水面付近の温度上昇と、風との相乗作用と言われて来たが、これは東京でまさに当てはまり、高知では圧倒的に温度が主因と思われる。
 風は酸素補給に最も必要であり、また魚の健康に欠かせないものだ。だが、東京では飼育場所を確保することが困難であり、屋上、ベランダ、室内が多く、従って風通しさえも望めぬことがままある。逆に、ビル街の屋上や、マンションの谷間に位置しては、ビル風の被害さえ被ることがある。
  温度
 平均してはやはり高知が高く、東京の長雨時に逆転している程度で、この年に限っては大差はない。魚との関連が明確に掴めず、皆さんのご意見を伺いたい。
  その他
 他に魚と関連の強いものに、日の出、日の入りが考えられる。ご存知の通り長い日本列島は、ほぼ中央に位置する明石市を標準に時刻を決める。大げさに言うと同じ十二時でも、東京と高知では太陽の方向が異なる。実際に双方の話を聞き合せると三十分、印象的には一時間の相違と思われる。
 東京では夜明けが早いため、ミジンコ採りは四時前後に現場へ到着し、夜の開けるのを待ち、順調に獲れれば、早々に引き上げて出勤前の世話が出来る。これは夜明けが早いための利点だが、早々毎日では体力がつづかず、魚の目覚めに飼い主はついていけないのが実状になる。
 高知では朝、魚の目覚めや活動とともに人間が起き、夕方は強い西陽が遅く迄当たり、水温の低下を防ぎ、最終給餌時間、餌の消化や成長に大きな差を産み出す。また、夕方の水替えさえも許容する。
 澄んだ空気も忘れてはならない。太陽を無駄無く受け入れ、スモッグ等、東京とは大違いだ。高知では雨水を池に入れる会員が比較的多く、これは大気中の不純物が作用しての、水質急変が少ないことを実証している。
 ともに良質の水は苔の質を保ち、作用を促進させ、魚に良い影響を与える。
 高知でただ一つ困ることは、集中豪雨、台風の多いことだ。台風銀座と仇名す程に会員や魚へ、多大な被害を与えている。
  やはり高知は南国、土佐錦魚は南国で産まれた魚
 釣好きの高知の会員の話に、冬海釣に船を進めると間もなく暖流に差し掛かり、海面一帯に陽気が立ちこめるのをみるそうです。
 南に暖かい海、北に山のつい立、二月に冬籠りを解き、水替えすべく魚を手にした途端、卵をこぼしたというエピソードある。しかし、二月三月の産卵よりも、四月五月に良魚が産出する確立が大きくなる。そのため産卵を抑えるのに、苦慮することもある。
 角鉢で産卵された稚魚は、間もなく丸鉢に移される。丸鉢は昔から擂り鉢型だ。強い陽射しに沸き易く油断がならない。それなりに効率は良い訳だが一長一短で、沸きの緩やかなお椀型が使われるようになって来た。
 丸鉢の水深は十五㎝~二十㎝程が多く、表面積と底面積に著しい差があるため、カーッと照る厳しい陽射しに水温差を生じ、当歳魚が暖かい水面に円を描いて泳ぎ回る。前置きが長くなったが、この泳ぎこそが土佐錦魚を作る時、最も必要になる。
 この泳ぎから骨格が出来、筒が太く、付きが良く、親骨が抑えられ、渡りが成長し、反転が大きくなる。
 秋の朝に反転が始まると魚は止まり、腹形も増し、仕上がりに向かう。この時狭い水底がおおいに役目を果たす。高知の気候と丸鉢無くして、土佐錦魚は誕生し得なかったと言っても過言ではないだろう。
 だが、親魚には少々酷に思える。水を濃く保てない宿命にある気候は、頻繁な水替えを余儀なくされ、魚は肌の老化を促進させ、過度な成長は寿命を縮めてしまう。
 浅い水深、狭い飼育池、強い陽射しはまたたく間に酸素か飽和をつくりあげる。動きの鈍い親魚は、平付けで大きな尾にたちまち気泡を付けて傷めてしまう。
 成長の面から見ると大きく成長させることはらくで、過去の大会に直径三十㎝大の審査用桶に入らず、六十㎝の桶を特別にならべるという、驚くべき親魚が出陳された。この魚は流石に参考出品として審査の対象外だった。あまり無理をせずとも成長が望める反面、抑えることは無理をすることにもなりかねない。
四回続き2 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/02/13(Mon) 20:05 No.128
 をご覧下さい。
二回目のスキー 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/01/29(Sun) 10:44 No.122
 また一週間、野沢温泉スキー場へいってきます。
会報の続きは帰ってから少しづつ致します。

Re: 二回目のスキー 投稿者:高松 健司 投稿日:2006/01/30(Mon) 22:31 No.123
玉野さん、今回も楽しんで来てくださいm(__)m

Re: 二回目のスキー 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/02/05(Sun) 12:42 No.126
 無事帰って来ました。
今回は前半春スキー、後半寒波スキーの両方を味わえました。
内蔵脂肪がガタッと減り、喜んで帰って来ましたが、
今日は体操もせずこれからワインを飲もうかと思っています。
(十年ものの白が手に入ったので試してみたくて)
直ぐ元通りのようです。
酔う前に午前中奉仕活動を少しと会報の続きを少し載せましたので、
堪忍して下さい。
四回の続き1を 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/02/05(Sun) 12:33 No.125
 お読み下さい。
第四回会報より 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/01/28(Sat) 19:18 No.121
 お読み下さい。
第一回会報よりの続きを 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/01/22(Sun) 12:21 No.119
ご覧下さい。
今日から一回目のスキーへ 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/01/15(Sun) 11:13 No.114
 朝から柔軟体操して、
2000段の階段昇りして、
少しダイエットして、正月太りをかいしょうして、
二十ん年前のスキーウエアーが着られるようになって
昼間は税務整理をして、
時間がある時に会報を整理して、
今日から一週間スキーに行って、
体力が衰えないように楽しみながら頑張ってきます。

Re: 今日から一回目のスキーへ 投稿者:高松 健司 投稿日:2006/01/16(Mon) 08:19 No.115
玉野さん

気をつけて楽しんで来てくださいm(__)m

スキーは体の外へ楽しみ 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/01/22(Sun) 06:13 No.116
 高松さん、有り難うございます。
無事でした。
沢山、いいものを受けて帰って来ました。

 帰って来たら東京も雪景色。
屋根が雪下ろしをした後のスキー場のようでした。

 スキー場は噂通りの大雪。
野沢は雪慣れしていて完璧です。
道祖神祭りをしたいがために自衛隊出動を要請しなかった根性の村です。
自衛隊を頼んでおいてお祭り騒ぎは出来ないからと、意地を張りました。

 野沢スキー場は古いので雪対策には慣れているせいか危険は全く無し、
自然林が多く雪崩防止になり、私が心配した一ケ所はちゃんと崩してありました。
 山の上では四メートル以上、
降る雪は寒波のおかげで北海道並みのパウダースノー。
握っても球にならず、踏むときゅっきゅっと泣いてます。
日が出ても温度がさしも上がらず、
雪の状態は山の上から下迄差が少なく、
寒い日はマイナス12℃。
暖かい日でマイナス6℃。
吹雪の日が一日。
その明くる日は気持ちのよい日で、
全長5キロ高低差1000メートルの尾根コースの朝一の滑りは、
宙を飛んでいるような気にさせてくれます。
東京に居たのではこの満足感は一生味わえないでしょう。

 めちゃめちゃ滑ったのに、まだ大丈夫のつもりで帰って来ましたが、
いまは心地よく全身が怠く、ももが熱いです。

Re: 今日から一回目のスキーへ 投稿者:高松 健司 投稿日:2006/01/22(Sun) 11:34 No.117
玉野さん、お帰りなさい。

スキーを堪能されたようで、良かったですね。
古い会報の原稿を打ち直しています 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/01/08(Sun) 15:24 No.112
 冬には目新しい魚のことを掲示することもなくて、
人も冬籠りをしています、
 掲示板が淋しいので、
古い東京土佐錦魚保存会会報の私の原稿を打ち直して、取りあえず掲示板へのせてみようと作業へとりかかりました。
手間がかかり少しお待たせしますが、自分で読んでいても振り返って意を新たにするところがあります。
出来た順序で掲示しますので、ちょっとご期待下さい。
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