土佐錦魚専科

志す人の過去ログ

過去ログ 2006/11/03~2006/10/22
水と肥り 6 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/11/03(Fri) 19:45 No.232
 この秋の雨の変化の中に、
四季の変化と、一日の変化と、
その基本を壊してしまった変則と、
その変則を利用する動きがあり、
急ぎ変則を基に戻そうとするこれからの働きが始まります。

 朝のうちで雨がやんでくれたので、早速青水つくりです。
本当なら必要分の上水をバケツに取って、魚を掬い、鉢を洗って戻すのですが、体力的にまだ不安があるので、ちょっと手抜きの変則です。
 一鉢目の上水をバケツに取ると最後の鉢の分として置き、鉢を洗うと隣りの鉢の上水を空いた鉢へ必要分移します。置き水を足し、魚の洗面器をあけて一つ。
 水が減って掬い易くなった隣りの鉢の魚を洗面器へ、順次七十個行い最後の鉢へ最初の鉢の水を入れて終わります。
全部の魚が元気だから出来ることです。
 いつもなら隣りの鉢の水で苔を擦った汚れを流すのですが、雨の後なので水道水で流しました。隣りの鉢の水を使うことで引き続き\調子の良さを保ってくれるからです。バクテリアや菌を問題なく維持するためです。
 かるい一日ぐらいの雨でしたらその方が青水も早く戻ります。今回は長く続いて青水は消えて水が変わってしまったと判断したからです。
 もしかして別の好ましくないバクテリアが増えていると、魚の調子を崩してしまいます。軽く殺菌して洗い流し、懸念を払拭すために水道水を使用しました。
 青水に戻る速度は遅くなりますが、大会を控えている時期に一層用心して危険性を減らすためです。
 戻す水も雨水の影響を少なくするため、四分の一にしました。
魚の動きは上々、肥りを戻すために少し多めに餌を与えたいところですが、この時期鼻瘤が付き易いので、普段通りの量にしました。
 その日の午後には薄めですが青水は戻ってくれました。
明くる日の水替えは元水を二分の一にすると、基本的な青水に戻ってくれました。

 明日は高知の『土佐錦魚の集い』へ出発します。
帰ってから疲れ次第ですが、なるべく早く続きを書くようにします。
水と肥り 5 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/11/01(Wed) 08:02 No.231

季節の変化の秋の冷たい雨、
 今朝まで足掛け四日も雨が続いて、
すっかり青水が消えてしまいました。
魚の肌が少しざらついて、少し長くなってしまいました。
冷たい雨で食い渋り、
魚が痩せて余計に長く見えます。
肥りにとって、秋の雨は二通りの影響が出ます。
青水を消して、冷たさが痩せさせる雨。
食欲がなく、当然餌を控えます。
無理をせず、青水の復活を待ちます。
青水を消さず、冷たさが肥らせる雨。
食欲が冷えの割りにはあるので、肥る機会となります。
無理をせず、いつもと同じ餌の量でも肥ってくれます。
どのみち雨の日は無理を出来ませんが。
積極的に捉えることができる雨か、
消極的に控えることが懸命な雨なのか。
只今起床 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/10/30(Mon) 05:54 No.230

目覚ましを掛け忘れていました。
普段掛け忘れても、30分ぐらいの寝坊で済むのに、
今日はぐっすりでした。
おおあくびをして、
今から顔を見に行きます。
大変だったものが 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/10/29(Sun) 20:28 No.229
 雨も朝のうちであがり、暑くも寒くもない日和になってくれました。
いま皆が帰ってわいわいした楽しさが余韻として、まだそこに在ります。
会員全員が一体となった雰囲気、始めて味わいました。
いいものですね。
来年は皆がんばるぞー。
皆のためにがんばるぞー。って意欲が湧いてきます。
錦魚も楽しく、会もとても楽しいものになりそうです。
皆さんありがとう。
雨音しきり 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/10/29(Sun) 03:28 No.228
 このところ雨の大会が続いています。
毎日着慣れたカッパ着て、
さあ、始まりです。
第三十一回東京土佐錦魚保存会品評大会 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/10/28(Sat) 21:22 No.227
 いよいよ明日になりました。
 新生、東京土佐錦魚保存会は昔の高知の伝統を継承して、土佐錦魚作りに重点を置くので、魚に作りの意図が感じられないと落とされてしまいます。
 実力主義で、実力のある人は本領を発揮しないと、だらし無いないと言われてしまいます。若手が何時ベテランを蹴落とすか。今年は誰が独占する程良い魚を作っていたと言い合えるぐらい、実力が伯仲するように早くなって欲しいものです。
水と肥り4 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/10/26(Thu) 10:52 No.226
 田村さんご夫妻のエピソードと、
むかし大会の折りに田村さんから頂いた言葉の
 『親は青水でじっくり飼いなさいや』と
宮地さんの当歳の作り方から推し量って、
土佐錦の水とはどのようなものかをひも解いてみましょう。
 産まれてから親を全うする《一生の変化》
 一年に渡る《季節の変化》
 二十四時間の《一日の変化》
この一見かけ離れた変化という時間で区切られ枠内に、
 【土佐錦魚作りの水に共通する概念】があります。
 また今回の題名である秋の肥りも、一つの要素として当然含まれています。
 そして、この枠に納まった世話をすると、土佐錦魚として整い始め、
 この枠から離れた世話によって育った魚は、矢野城桜さんの言うように土佐錦魚から外れ始め、ただの土佐錦魚属に留まってしまいます。
 解りづらいので具体的に、昨日まで足掛け四日続いた秋の冷たい雨を例にしてみましょう。
雨がくれた夜明けのおみやげ 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/10/25(Wed) 07:43 No.225
 三時頃は雨音がしきり、
四時頃はもう少し様子を見よう。
五時から開始。
じきに雨が止む、追いかけるように名残りがぱらぱらと。
六時頃になると魚が見えてくる。
やっぱり魚が見えてする水替えは気分が違う。
六時少し過ぎた頃、
何気なく西の空が気になった。
大きく、綺麗に虹がかかっている。
見ている間にその上に二つ目が。
気を取られてよそ見していると、鉢から溢れる音。
あわてて止めるて、振り返ると、二つ目は消えている。
ちょっとがっかりして、少しの間溢れないことを確認して、
見上げると。
虹は消えていた。
足掛け四日続いた雨がくれたお土産。
またもらえるかな。
水と肥り3 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/10/24(Tue) 05:37 No.224

 むかしむかし、
田村翁が錦魚屋現役の頃の話しです。
水替えの頃に出掛ける用事ができてしまい、
奥さんに水替えするように言いつけて、
出掛けたことがあったそうです。
 帰って来ると、
水替えが気に入らず、奥さんへ茶碗を投げつけたとか。
奥さんが「よう茶碗が飛んで来た」と、
昔は今の微笑み伴って話していました。
(昔は茶碗で魚をすくったり移していたそうです。黒い魚を見る には白い茶碗がうってつけです。)
 ただ、真っ更に替えるだけなら、誰でも子供でも出来ることです。怒るような事態は起こらなかったのではないでしょうか。
そこには鉢の洗い方、微妙な元水の割り方等が問題としてあったのではないかと推測できます。
 急いで帰って来た田村さんが鉢の水を見て、つい怒ってしまった。
この短気の原因は、水替えに失敗を見つけたから。
僅かな失敗も取り返しがつかないことが焦りを産んで、手伝っているのにやるせない奥さんへ、矛先が向いてしまった。
一途で不器用な職人気質を物語っているように感じられます。
水と肥り2 投稿者:玉野叔弘 投稿日:2006/10/22(Sun) 09:14 No.223
やはり、いずれは毎日水替えしようと思っていました。


設備が少しづつ整い、置き水700リッターを置けるようになると、
余裕ができて毎日に変更しました。
糞や底水をとるより毎日水替えした方が早く終わるので、時間的にも余裕ができ、そのぶん鉢の数も増えました。
 一日の内で成長と作り(秋には肥り)をやってのける訳ですから、
判断が難しくなりますが、その分魚の変化が早く、一日一日の緊張が人生に張りをもたらし、失敗の落胆が明日へ、来期へと続く励みにもなりました。
 毎日水替えは、食欲を挑発するに十分で、
高知の人に「高知のよりふといでー」と言わせてしまう失敗をしましたが、それでも長くて大きいのではなく、肥って大きくなっていました。
 それは必ず元水を加え、真っ更には替えていなかったからです。
極初期では置き水が足りなくなった時に、ハイポを使って替えていましたが、真っ更に換えると直ぐに気が付くほど鱗がガサツいてしまい、教えの基本へ立ち返ることが出来ました。
 土佐錦は水が汚れたらただ替えるだけの魚ではない。
大きく育てるだけの魚ではない。
水替えには何らかの意図がある。
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